年に一度、日本中の神々が集う出雲。北には日本海。南には中国山地。東西に宍道湖、神西湖。斐伊川、神戸川。
旭日酒造はこの神聖な出雲地で明治2年より、酒造りを行っています。

創業当時に銘柄が「白雪」から「十旭日」となり、2013年には出雲市大社町の古川酒造より「八千矛」の銘柄を引き継ぎ、両方の銘柄をそれぞれ大切にしています。 「十旭日」は当時、東宮だった後の大正天皇が山陰地方を巡幸の折、侍従長の木戸孝正侯に献上した酒が「天下一の美酒なり」と賞賛され、「旭日」の揮毫を受けました。また、7代目の当主が能勢の妙見山を篤く信仰しており、「切竹矢筈十字」の紋章を御守りとして大切にしていました。後にこの二つが組み合わさり、「+旭日(じゅうじあさひ)」として現在に至っています。そういった歴史のある銘柄なのです。

仕込みは現在も大正15年に建てられた土壁の蔵で行っています。呼吸をしているかのような酒蔵の中、自然素材の道具を主に使用し米や微生物と人が対話するような酒造りが続いています。大切にしているのは、微生物や素材の力を「人は手伝っているだけ」という思想。それは時には、安定的な質や量産といった時代の動向とは反することもあります。けれど同時に、一度飲んだら忘れられない、唯一無二の酒を生み出す所以でもあります。

酒造りに使用する米は地元出雲の山間部や、奥出雲が主な産地。自家精米で丁寧に磨き、使用しています。近年はご縁で繋がった農家の方の米が増え、情報のやり取りをしながら大切に醸しています。
仕込み水は出雲北部に連なる北山山系の水を組み上げています。軟水の中でも硬めの水質です。しっかりとした発酵に向く性質を持ち合わせており、+旭日の酒質に大きく関わっています。

十旭日の酒の味わいの特徴はどこからやってくるのか? いつか酵母での酒造りが叶えば良いな、という思いが実現したのが平成20酒造年度の造りの時でした。そこから少しずつ量を増やしたり、種類を増やしたり、米や農家の方と出会い、さらに新たな生酛が生まれたりを重ね現在に至ります。ベテランの出雲杜氏に支えられ、続いてきた旭日酒造。時代と共に、冬場に酒造りに携わってくださる方々の減少は止まりませんでした。そんな中、蔵元の長女夫婦(寺田栄里子氏)が酒造りの現場に入り、出雲杜氏の酒造りに触れながら、新たな挑戦も加えつつ現在に至っています。平成22年より、杜氏副杜氏として造りの中心に。
ベテランの蔵人や、若く才能溢れる蔵人に支えられ、チームとしての力の向上に努めています。

いつまでも愛され親しまれるお酒造りを続け、”出雲に十旭日(じゅうじあさひ)あり”と、全国の日本酒ファンにも評価して頂ける品質を目指しています。




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