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私たちの暮らしは、様々な年中行事で彩られています。
年中行事には、お正月や五節供のように貴族や武家の儀式からきているものや、 節分や彼岸のように暮らしに深くかかわる雑節から生まれたものなどがありますが、 いずれも文化や季節感を大切にし、行事を通じて日本の心が養われるものばかりです。 こうした日を「ハレ」(非日常)と呼び「ケ」(日常)と区別しますが、「ハレ」の日を過ごすことで 心身に潤いを与えて「ケ枯れ」を防ぎ、明日への活力にしてきたのです。 また、ひとつひとつの行事には深い意味が込められています。毎年同じ時に同じような経験を重ね、 他の人と共有できる体験をして、自分をとりまく様々な物事に気づくことで、心豊かに過ごせるはず。 暮らしを彩る年中行事は、人生を彩る行事でもあるのです。 ■「ハレ」と祭り 「ハレ」の日には、晴れ着を着たり、神聖な食べ物である餅や赤飯を食べたり、お酒を飲んで祝ったりして、 特別な日であることを示します。古来より、日本人は、木にも火にも水にも神様が宿っていると感じ、 これを「八百万の神」といって大切にしてきました。そして、身辺で起こるよいことも悪いことも、神様のおかげ、 神様のせいと考え、人々は祭り(祀り)をつかさどるようになりました。 祭りの華やかさ、行事の晴れやかさ、ケガレを落とした後の清々しさが「ハレ」であり、 「晴れ晴れ」「晴れ着」「晴れ姿」など「ハレ」の気持ちを表した言葉がたくさんあります。 ■「ケ」と気枯れ 「ケ」は普段通りの生活を送る日ですが、日常生活の「ケ」がなく、毎日がお祭りの「ハレ」だったら、 それはつまらないものになってしまうかもしれません。 また、陰鬱な気持ちや何かよくない力、病気や死など、「ケ」の 生活が順調にいかなくなることを、 「気枯れ」=「ケガレ」といって忌み嫌い、禊ぎ、清め、祓いなどをしました。 「ケガレ」を落とし、単調になりがちな生活に「ケジメ」をつけて、「ハレ」の日を迎える。 そうした物事の繰り返しで暮らしが成り立っているのです。 ■「ハレ」と「ケ」はワンセット 日々に「ハレ」と「ケ」があるように、一人の人の日々の中にも光の部分と影の部分があります。 悪いことが起こると「明日はきっとよくなる」と自分を励ましたり、 よいことが起こると「いいことばかりではない」と喜びすぎるのを戒めたりすることがあります。 まさに「禍福はあざなえる縄のごとし」です。 この感覚は、日本人の暮らしのメリハリや心の影響と深いかかわりをもっています。 |